Classiques japonais avec furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Lisez 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 109 804 caractères · 225 écrans
平次はもう一度念のためにその部屋を見せて貰った上、戸締りの工合も調べ直しましたが、外からコジ開けた様子もなく、ただ上下の桟の輪鍵のあたりと、錐で小さい穴を開けた跡があります。平次は戸を閉め切って内外からその穴の工合を見ましたが、ただこれだけの穴で、三重の締りを開けるのは、ほとんど不可能で、「泥棒は外から入ったぞ」と教えているだけの細工とも思われます。本当に柏手を二つ三つ打って、苦もなく八重の締りを開く、奇蹟的な術を持った賊ででもなければ入れる場所ではありません。
その足の不自由なのと声の錆で、矢の根五郎吉と見当をつけ、平次と太助が力を協せて苦もなく縛りましたが、この手柄の蔭に、重大な失策が潜んでいるような気がして、我ながら不思議な自責を感じているのです。
神津右京の正室は十四になる総領の吉弥を遺して早く死に、今は雇人あがりの妾お江野というのが万事世話をしております。お江野には五つになる京之助という子がありますが、お江野と吉弥の間は、世に謂う継しい仲でありながら何の隔たりもありません。
お江野は三十二三の美しい中年者。
「親分、なにぶん宜しく頼みます」