Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

Lisez 魔術師 (まじゅつし) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 139 264 caractères · 280 écrans

Aozora Bunko

ところが、そうしている間に、嘗つて聞いたこともない滑稽な、併し同時に身の毛もよだつ程恐ろしい事柄が起った。

一郎は少し前から頸のうしろに、妙な圧迫を感じていたが、屋根に気をとられて、それが何であるかを考える余裕がなかった。だが、その圧迫感は、やがて、ジリジリと、不気味な鈍痛に変り、はては、耐え難き痛みとなった。

最初は何が何だか訳が分らなかった。怪物が上の方から彼の油断を襲ったのではないかと、一時はギョッとしたが、頸を圧えているものは、何かしら非人間的な、機械的な物体であることが感じられた。

彼は申す迄もなく、首を引込めようとした。だが、もう遅かった。見えぬ物体の為に圧迫され、顎が穴の縁につかえて、どうもがいても、首を引出すことは出来なかった。

頸の痛みは刻一刻増すばかりだ。その時、やっと、彼を苦しめている物体が何物であるかということが分った。彼は笑い出した。真底からおかし相に笑い出した。世の中にこんな滑稽なことがあるだろうか。彼の首を押えていたのは、大時計の針であった。

針といっても、長さ一間、巾一尺もある鋼鉄製の剣だ。その楔型の鋭くなった一端が、彼の頸の肉にジリジリと喰い入っているのだ。