Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans
こらえていたものが吹ッ切れたように、阿波守の声、やや冷静をかいて癇走った。
「阿波には阿波の歴史があり、この城にはこの城の柱石をなす掟と人心というものがある。間者を殺せば凶妖ありと申すことは、家中一統の胸に深く烙きついて、誰も信じて疑わぬまでになっている。お身の乱暴な矢はその人心におびえを射こみ、動揺を起こし、大事の曙光に一抹の黒き不安を捺すってしまった! もし向後渭山の城に妖異のある場合はいよいよ家中の者に不吉を予感さするであろう。ああ、まったく要らざることを! 烏滸な気働きをさせたものじゃ」
こう、叱っている阿波守が、すでに迷信から生じる一種の不安と疑惧におそわれつつあるような心理が、三位卿には不解であった。
「それみたことか」
といわんばかりに啓之助は、小人らしい溜飲を下げていた。剣山の帰途、お米と自分の姿へ、馬上から諷罵をあびせかけて行った有村の態度には、彼とても、こころよくはなかったから。
しかし、有村は、あの時、啓之助へ投げた言葉も、偽らぬ感情を、疾風の間にいいすてたことだし、また阿波守に咎められたことも、自身では、正しい啓蒙と信じているので、なんらの痛痒もおぼえていない。