Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans
無論、十九日の晩に、いよいよ四国屋の船に乗って、阿波へ立つということなどはおくびにも出さない。
まだ未来にどれ程な艱苦迫害が待ちもうけているかは逆睹しがたいが、その決定だけでも話してやったら、さだめし万吉喜ぶだろう、耳に入れてやりたいのは山々で、聞かせてやれないのは辛いことだ。
それを知ったら、おそらく万吉の気性として、ジッと傷の癒えるのを待ってはいまい。利かない体を無理にでも寝床から這いだすだろう。そして、憤死するかもしれない。
お綱は寝ずに看護をしていた。
弦之丞もその枕元を離れ得なかった。けれど、船出の十九日は、もう明日の夜とまで迫ってきた。
所詮、万吉は残して行かねばなるまい。罪のようだが、ある時期まで、それをいわずに、黙って立つよりほかに道はない。
何かの支度もあるし、留守の間に、また四国屋のほうから手筈の都合を知らせてきてあるかもしれないので、そのほうも気が気ではなく、弦之丞はお綱とお吉にソッと言いふくめて、先にひとり桃谷から帰ってきた。
十八日の晩である。
明日の夜の今頃は、もうこの大阪を離れている。
阿波へ指して行く船のうちに暗い海風を聞いているのだ。