Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans
船中は混乱した。
水夫や乗合の者は理由を知らぬだけに何事かと驚いて隅へなだれた。
そのまにものものしくおどり込んできた原士と天堂ら三人組は竹屋卿の前後をグルリと取巻いて、目指すつづらとともに、松兵衛、新吉の二人をも剣槍の中にくるんでしまった。
舵取も舵に手がつかない、櫓方も胆をひしがれて姿をひそめ、方向の眼を失った船そのものは、流れに押されて天保山の丘へ着いている。
「松兵衛、白状してしまえッ」
森啓之助は中央に立って、かれの利腕をねじ上げた。新吉は原士に襟がみをつかまれてすくんでいる。
「お久良に何か言いふくめられて、この荷つづらの内へ抜乗り者を隠したであろう。吐かせッ、さ、新吉もだ!」
と船板へ額をコヅいて責めた。
「知らねエ!」
松兵衛は頑として強くかぶりを振りながら、
「おいらは船頭だ、船頭は船をうごかすだけだ! 頼まれたものを積むだけだ! そんなこたア知るもンか」と捨鉢の語気になった。
「情の強いおやじめ!」
三位卿はそのつづらに腰を構えたままハッタと睨めて、
「そちたちはこのつづらの金紋を何よりの不可侵境と心得て、梅渓家の威光を借り、吾らに手出しがならぬと心得ているのであろうが、抜乗りの者がひそんでいることは、四国屋を出る時から読めているのじゃ。