Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans

Aozora Bunko

大勘は、数日家を空にして、苦心して描いた山絵図を前に、あれこれと、細かい心おぼえを説明した。

かれが指さす図面に目を辿らすと、彼岸剣山の頂へ行きつくには、まだ重畳たる山また山が阻めている。

杣か猟師でもなければ、通わない所が多い。

大体、剣山へのぼるべく、ここを選ぶのは順路ではない。だが、順路をとって行かれぬ二人の目的、ぜひがなかった。

弦之丞とお綱よりは、二日半ほど早く徳島の城下を出ている竹屋三位卿とほか三人組が、急いで行ったあの道こそ、剣山へのぼるに都合のいい表道。途中、お十夜の用で、川島に一日あまり費やしたにしても、かれらの一行は、やがて貞光口から塵表の巨山を仰いでいるに違いない。

かれは北、これは南、かれは表道から、ふたりは道なき裏にかかっている。

だが、その者たちが、自身より一足早く、甲賀世阿弥を殺しに向っているとは、もとより知らないふたりであった。

「何よりの心づけかたじけない」

大勘の厚意を謝して、弦之丞はその山絵図をふところに納め、追手の姿を見ぬうちにと、また一心に道を急いだ。ある時は、口もきかず、ある時は、行願に向っているような汗をしぼっている自身に気づいた。