Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans
といったが、日除笠、すッくと向うに立ったので、怪しい! と天堂や周馬が、いちどに三方から姿を見せると、
「な、なンだ!」
声はでかいが、案外なあわてざま。
「貴様こそ何者だ、見れば、町人姿、山牢のあるこのあたりへ何の用があってウロついている」
「じゃあ、あなたがたは蜂須賀家の……」と言いかけたが、町人、小首をひねった。総髪、十夜頭巾、顔の見えない編笠、見くらべて妙な顔をした。
「アー」と、そのうちに、後ろにいる三位卿を見つけると、あわてて、笠の紐を解いて、
「そちらにいるのは、御城内のお公卿様、わっしは、徳島御奉行の下廻り、釘抜きの眼八という者でございます」
「オ、手先の眼八か」
一角は顔を見知っていた。
「あ、天堂様でございましたか、ひどい目に会わせますな、あぶなく谷間へ玉転がし、命を棒にふるところでした。だが……ああ、いい所で会ったもンだ」
胸板へ汗ビッショリ、押し拭って、笠を団扇に、ほっと一息ついている。
「眼八」と、一角は素振りを見て、
「妙なほうからやってきたな、いったい何用があってこの剣山へ来ているのか」
「ご存じはありますまい」と、眼八は、これほどのことを苦もなく話してしまうには惜しい気がして、