Classiques japonais avec furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Lisez 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 261 216 caractères · 521 écrans
原士の残る者たちは、阿波本国の取潰しと聞いて、闘う気もくじけ、いつのまにか三位卿の死骸を抱えて、麓のほうへ逃げ散っていた。
「……頭巾を? ……」
兇悪な孫兵衛を討ち止めるとともに、ふと、剣山での父の死を目にうかべて、熱い涙がにじみだしてくるのを感じていたお綱は、どこかで、こういう声にささやかれた。
「孫兵衛の頭巾を? ……」
それは、世阿弥が、死のまぎわに、口に洩らしかけてこと切れた謎のことばであった。
このことは、桃谷の家で、弦之丞にも万吉にも話してあった。で今、弦之丞は止刀を刺した後に、孫兵衛のその頭巾をさし伸べた。
鴻山も一種の猟奇心に駆られてジッと立っている。今は、解かれることを拒み得ないお十夜頭巾。
めくりだされるものはなんであろうか? 一同、思わず固唾をのんで、弦之丞の手に解かれてゆく黒布に眸を吸われていると、
「しばらく」
と、一同の後ろから、ゴソゴソと草むらをかき分けて、そこへ、這いかがんだ者がある。
「? ……」
甲虫のように、手をついた男を見ると、かつて見かけたことのない、町人とも武士ともつかぬひとりの侏儒だ。
だしぬけに風態見当のつかぬ侏儒が、「しばらく!」