Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans
時どき風雨のひまに、うすぼんやりと雪田や峯などの形が、水銀をといたほどの、ほのあかりの中に見えることがある。天気になるのかと喜ぶ間もなく、又前のような騒動をくりかえすのが常だ。一度その風雨の中に立とうものなら、今さらその力のほどにびっくりする。山稜は殊にひどい。とても立って歩くことはむずかしい。無理やり風の隙きを押し分けるようにして、ヒョロヒョロ進んでも、呼吸が続かない。吸うよりも吐くことができぬ。伏す――やはり苦しい。稜線の風下も側へ下って、僅かに息を整えるのがせいぜいだ。けれどもたちまち全身がビッショリぬれそぼつ、寒さは刻々に倍加する……そんな事をしていれば、つまりは凍死だ。そうした例は、この山にはたくさんある。だが私もこんなひどい風にあったのは、これがはじめてだった。
すこし雨が疎らになったと思っても、風はなかなか止まない。おりおり頂上の方から、人声がちぎれちぎれに送られてくることもある。いつも悲鳴に似て、なにか凶が凶がしく心細い気のするものだ。大ぶん天気が続いたあとのせいか、これからしばらくは、ついぞ好い日に恵まれなかった。
夜も時には、満天大小の星で埋まってしまうかと思うばかりの、高山らしい星空もその一角を現わしたけれど、絶えず動揺去来する雲霧に、たちまちかき乱されてしまう。