Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans

Aozora Bunko

尾根へ上りつくと、そこは山人のいわゆる「餓鬼の田圃」だ。この辺には珍らしい小湿原で、あたかも人の手を加えた畦とも紛う境界を作って、それぞれに水を湛え、その中に藺の類がまるで稲そっくりに生えている。田の畔には、毛氈苔なども点々。羊歯は若緑のささ波を立て、夏あかねが翅をきらめかせて、静かに回遊する。日はこの浅い窪地に満ち溢れて、緩やかにかげろうを燃やす。周囲を取巻く岳樺の背から、残雪を帯びた奥不帰の連峯が、古びた土器色に、尖ったりふくらんだりして、この長閑な春めく光りの小天地をのぞきこんでいる。

だが、ここから鉱山への道すがら、餓鬼谷越しに黒部の本谷かけて見渡す景色は、身ぶるいの出るほどのものだ。劔、立山の連脈は、峯頭を目八分に仰ぐだけに、中腹以下がぶっかいたような大荒ら彫りに、角度強く拡張されて、粒状に凝った谷の空気と雪の光輝を交みに反映させつつ、一めん銀箔を摺ったごとくにきらめいている。黒部の奥は、空気が押しつめられて濃い澱みを作り、それを払って赤牛、黒岳など、颯爽と立ちはだかる。額の辺へ、氷嚢でもあてがわれた心地がする。

大黒鉱山から五竜岳へは一里くらいしかない。