Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans
た。気温が高ければ湯はさほど熱くは感じないし、寒ければ逆に熱く感ずる……それはあるが、そう簡単には片づけられまいし、私も首をひねって見たが、素人流の仮説はこうだ。この温泉にも、地下で途中から枝分れした湧出口が、他に幾つかあって、それが水中、あるいは谷水とすれすれに開いているとする。それは天気がよくて、川の水位が低い時は、放流されているのだが、上流に雨が降って、川水が増すと、水圧でその湧出口がふさがれたり、さまたげられたりするため、ここの湧出口に湯が多く廻ってくる……そんな風の事がありはしないか。もちろん本当のところは、専門家をまたねば分らぬが、まず気温、温泉の温度、川の水温や水位などの変化を、関係的に調べる必要があるだろう。さき走ってはいけない。
昼近く、谷間の空気がだんだんと日光に射透されて、洞窟の形に引隠れた浴場のあたりも、影が追われるように去ると、湯壺はいっぺんに底まで照らし出される。少し深いところは、妙に冴えた青味をおびて澄む。輝く波紋は、底のきらめく真砂に、ゆらゆらと五彩の影を走らす。そして己れの裸形を見て、誰でも、思いの外の、その美しさに驚くにちがいない。