Classiques japonais avec furigana
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あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans
二羽ともそれがあるのを他では見たが。赤斑は何かに驚くと、急に大きくなるようだ。わずかに黒い羽が、雄の翼の裾と尾の下羽に見え、雌の胸にも菱形に四点ばかり軽くうかがえた。啄んでいるのは、雪が風に払われて、苔桃やガンコウランの露出した所で、恐らく芽先きか旧年の果実でも漁るらしい。
大分追い廻した気の毒さ、こちらも疲れたし、ひとまず鳥に別れて池の方へ。雪倉朝日の大岳、雪の衣を着膨れて坐す。乗鞍大池はただ洞然たる雪の大窪。岩蔭の日溜りに、餅など食う。昨日に引きかえ、まったく静かで暖かい。霞の中に立つ浅間の煙さえ、一と筋なびきも乱れもせぬ。ひるから山頂の雪原の真中で、岩上に偃松がわだかまり、かなたに小蓮華から本山の聳える所を描く。小蓮華の北面に、榛か樺か秋の草と雪に伏し、稜線は光の覆輪をかけ、白馬東面の雪庇強い藍影をひく。銀灰の空から注ぐ日光は意外に強く、眼鏡なしでは耐え難い。その代り暑い位で、気がつくと手袋を忘れていた。いびきの声はYが雪の上の昼寝。星烏が一羽飛来して、枯れた声で鳴く。いつの間にか又雷鳥たちが向うの岩蔭に来て、時折りじっとこちらを見ている。