Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans
一度こっちになにか起これば、そんなおためごかしは煙のように消えてしまい、昨日までのえびす顔がいきなり鬼の面に変っちまうんだ。道具袋の中に金襴の切がはいっていたというだけで、十年続いた心と心のつながりが、凧の糸の切れるようにぷつんと切れてしまうんだ。それに比べると、才次がおれをめのかたきにする気持にはごまかしも嘘もない、おれをやっつけてやろうと、隙を覘っている気持はしんけんだ。人間がしんけんに思い詰めるということは、よかれあしかれ本物だし立派だ。こんどこそ対等に、本気であいつとぶっつかることができたんだ。
――それなのにいま、隠していた余罪がばれたという。
本当にそんなことがあったのだろうか、おれがひっかかったように、あいつもまた世間のやつらの罠におとされたんじゃないのか。そうだとすると、あんなひどいことをするんじゃあなかった、と栄二は思った。
それからのち彼はようやく、周囲の人間や出来事を、注意して見るようになった。才次のことがきっかけになり、この寄場にいる人間がみな、世間からのけ者にされた、という事実に気づいたのだ。ここにいるのは自分のなかまなのだ、世間のやつらは敵だが、この寄場にいる者は自分と同じように、世間から痛めつけられ、騙されたりぺてんにかけられたりしたのだ。