Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lisez さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 210 521 caractères · 415 écrans
さぶは泣きべそをかくように、唇を曲げて苦笑いをし、あいまいに首を振った。
「栄ちゃんがそう云ってくれるのは、おらあうれしい」とさぶは云った、「――けれども、いまはもう違うんだ、おのぶちゃんは自分の気持をすっかり話してくれたんだ」
栄二は口をつぐんだ。
「ああ、忘れてたけれどね」とさぶが急に思いだしたという調子で云った、「おのぶちゃんの八重歯が抜けたんだよ」
「どうして話をそらすんだ」
「忘れたのかい、あの人の歯のここんとこに」
「知ってるよ、八重歯はいつか抜けるもんなんだ」
「はたちまでにはって云ってたけれど、本当なんでたまげたよ、ちょうど十九の十月だったんだから」
栄二はじっとさぶの顔を見まもった。
「さぶ」と栄二は屹とした口ぶりで云った、「おめえたまには本気で口がきけねえのか」
「本気でって、なにかおれが」
「のぶ公がなにを云ったんだ、自分の気持を話したってのはどういうことなんだ」
さぶは力なくうなだれ、肩をちぢめて太息をついた。悲しげな、頼りなげな姿である。どうしておれはこうだ、と栄二は思った。はなれているときはもっとやさしくし、劬ってやろうと思うのに、面と向きあえばすぐにじれったくなって、つい荒っぽい口をきいてしまう、おれはいやなやつだな、そう思いながら、態度をやわらげることはできなかった。