Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

へちまのき

へちまの木

山本 周五郎

Lisez へちまの木 (へちまのき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 29 120 caractères · 58 écrans

Aozora Bunko

人によって好みはあるが、四番めに刺身というのは珍らしい、そんなことを知らない男とは見えないし、とすれば、ことによるとなにかあるな、と房二郎は直感した。その直感は外れなかった。脇の飯台で飲んでいた二人が、勘定を払って出てゆくとすぐ、刺身を二三片たべた前の男が、大きな声で小女を呼んだ。

「そこのおちょぼ」と男は云った、「ちょっと板前を呼んでくれ」

「あたしの名はおつまっていうです」とその小女は云った、「なんの用ですか」

「板前を呼んで来いと云ってるんだ」

「旦那はいそがしくって、いま手が放せねえです、用はなんですか」

「旦那なんて誰が云った、板前だよ、板前」と男は云った、「この刺身を作った板前を呼べと云ってるんだ」

「それが旦那です、うちじゃ焼くのも煮るのも、刺身を作るのもみんな旦那さんがやるです、なんの用ですか」

「その旦那を呼べっていう用さ、おっと」男は片手をあげた、「いそがしくって手が放せねえとは云わせねえぞ、客はおれとこちらの二人っきりだからな、わかったか」

小さな店だから、男の声は板場へ筒抜けである。小女がゆくまでもなく、片襷をした四十がらみの男がこっちへ出て来た。