Classiques japonais avec furigana
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さんまいつづき
三枚続
泉 鏡花
Lisez 三枚続 (さんまいつづき) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 63 572 caractères · 124 écrans
「私を、……私を、……私を、……」と怒を帯びた声強く、月に瞳を見据えたが、颯と耳朶に紅を染めた。胴を反して、雪なす足を折曲げて、
「あ痛々々々。」
たちまち血の気は頬に消えて、色は一際白ずむのである。
「虫殺しだ、ちったあ痛えや。」
「掴えッちまいなせえ、」とお夏を押えたのが早速の懸声、それもこれも瞬く間で。
「危え、わッ!」
といって、今、お夏を引立てたのを見るや否や、軍鶏の頸を捕えようとした鉄は、両の掌で目を蓋して背後へ反った。
軍鶏はその肩の辺りまで素直に宙へ飛んだのである。
その脚の地に着くともろともに身を飜えしてどんと突くと、
「おッ、」と喚いて、お夏の腕を捻っていたのが手を放して飛退ると、袖が断れたか、とぐいと払って、お夏はいま一人を振放して、つつと月影に姿を消したが、柳の下を潜るが疾いか、溝を超えて、店へ駆け上ると奥へ入った。
後を追って、奇異なる断々の声を叫びながら駆け出した蔵人を、ばらばらと追詰める連中の、ある者は右へ退き、ある者は左へ避け、三人五人前後に分れて、賽の目のように散らばった。
要こそあれ滅多当に拳を廻して、砂煙の渦くばかり、くるくる舞して働きながら、背後から割って出て、柳屋の店頭に突立った、蚰蜒眉の、猿眼の、豹の額の、熟柿の呼吸の、蛇の舌の、汚い若衆を誰とかする、紋床の奴愛吉だ。