Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lisez 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 340 187 caractères · 666 écrans
もっとも以前ひそかにこの府内巡行をはじめた最初のうちは、彼にもそうした悪戯げな気もちが、まんざらないでもなく、街上をゆく者や店々に群れさわいでいる男女が、なんらかのはずみで自分が大岡越前であることを知ったら、かれらはどんなにか驚き、恐れ、且つあわててそこの土に平伏することであろうか――こう考えると、忠相はいまにも誰かにみつかりそうな気がしてならなかったり、時としては、余は南町の越前である! と叫びあげたい衝動に襲われたりしたものだが、しかし、それは昔のことである。
いまの忠相は、すっかり枯れきっているのだ。
かれは何らの理屈も目的もなしに、中老の一武人として、寂びた心境のなかに日向の町を歩いているだけで、言いかえれば、この、浅草の歳の市をひやかしてゆく、でっぷりとふとった上品なお侍は、南町の名奉行大岡越前守忠相ではなく、江戸の一市民にすぎないのだ。だから、向うから来て、自然と顔を合わせてすれちがう多くの者が、誰も気がつかずに往くのにふしぎはないのだった。
奉行といえども二本の脚がある以上、こっそり町を歩いたとてなんの異やあらん――忠相はこう思っている。