Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Lisez 丹下左膳 (たんげさぜん) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 340 187 caractères · 666 écrans

Aozora Bunko

けれど! かじ富の煩悩の腕は、払ってもはらっても伸びてくる。

たまらなくなったお艶、いっそ人眼でもあったら一時のしのぎになるだろう――と!

逃げながらサラリ、二階縁の障子をあけたから、ぱっと流れる灯のなかに、座敷着も崩れてホンノリ上気したお艶のすがたが……。

そしてばったり栄三郎と眼があった。

瞬間!

栄三郎は、歩き出していた。

「泰軒先生! よしないものに足をとめて、チッ! けがらわしい図を見せられましたな。いざ、どこへなりとお供つかまつりましょう」

と! 同時に。

ぴしゃり、二階に音あり……お艶は早くも障子を閉めた。

二階を走り出たとっさの光線を全身に浴びた栄三郎――それは昼間のべに絵売りの風俗ではなく、本来の浪人風に返ってはいたが、いずれにしてもお艶にとっては、会わぬ日のつもるにつれて、夢にだに忘れたことのない恋人栄三郎であった。

栄三郎様に泰軒先生!

と見てはっとしたお艶、みずからのすがたを恥ずるこころが先立って、気のつくさきにもう障子を閉ざしていたのだったが、遅かった。

泰軒、栄三郎がお艶をみてとったのはもとより、すこし隔ててうかがっていた弥生にも、刹那にして消えた二階の芸者が、意外にもお艶であることは一眼でわかった。