Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
白旗山はともかくも、この姫山は決してお身たちに渡すまい。好んで禍いを招こうよりも、一刻も早うここを立ち退くが人のため、身のためじゃ。早う行かれい。」
「して、お身は何者じゃ。」と、秀吉は訊いた。
「それを名乗る要はない。二百余年の昔からここに棲む者じゃと思われい。」
「さてはおのれ、狐狸か魔性の者か。」と、秀吉は屹とかれを睨んだ。「女子の身としてこの古城に百年二百年の月日を送る――まことの人間ではよもあるまい。空城のあいだはおのれらの宿にも仮したれ、秀吉がここに来たり住むからは、おのれらに一刻も仮すことはならぬ。おとなしく立ち去らずば、おのれ眼に物見するぞ。」
小姓に持たせていた太刀を引き取って、秀吉はわが眼の前にたたずむ怪しい上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)を睨みつめていると、かれもその艶やかな顔色を見るみる変えた。
「さらばお身、どうでもここを立ち去らぬというか。あくまでもこの城を我が物にしようと言うか。」
「勿論のことじゃ。わが弓矢の力で切り取ったこの国に、わが居城を築くがなんの不思議じゃ。今までここに棲んでいた主人というに免じて、おのれの命だけは助けてやる。