Classiques japonais avec furigana
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へいけがに
伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集
岡本 綺堂
Lisez 伝奇ノ匣2 岡本綺堂妖術伝奇集 (へいけがに) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 203 094 caractères · 411 écrans
それでも執念くさまよい居らば、おのれ生け捕って正体を見あらわしてくるるぞ。」
上※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)は素直に立ち去ろうともしなかった。かれはものすごい瞳をかがやかして、呪うようにじっと秀吉を見つめているので、秀吉の憤怒は俄かに胸を衝いた。
「ええ、おのれ。素直に立ち去らぬか。」と、彼は一と足すり寄って叱るように言った。
「お前こそ素直に立ち去られい。」と、かれの方でも一と足すすみ寄って来た。
すわや大事と看て取った小姓どもは、いずれも腰刀に手をかけて主人の左右に引き添うて進むと、秀吉はかれらを見返って激しく命令した。
「それ、かれめを生け捕れ。手にあまらば斬って捨てい。」
小姓どもは一時に飛びかかってかれの腕を捉えようとすると、かれの姿は忽ち烟のように消えてしまった。
「おのれ、まさしく魔性の者じゃ。」
秀吉は空を睨んで突っ立っていると、そこに一本咲き乱れている遅桜の梢かと思わるるあたりで、彼を嘲るような笑い声がきこえた。
「羽柴筑前。早うここを去らぬと、お身の家は二代と続くまいぞ。」
太刀に手をかけて、秀吉はそこらを屹と睨み廻したが、それは声ばかりで、呪詛のぬしはどこにも姿を見せなかった。