Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans
すると背後で、扉を敲く音がした。とっさに、佃が来た知らせかと思い、彼女は困却した。十一時頃から彼らは、ハドソン河を彼方に渡って、ながい散歩をしようと約束していた。扉の方に歩きながら、伸子は、
「お入りなさい、――どなた」
と、声をかけた。
「いらしたのね」
扉をあけて現れたのは、高崎であった。
「まあ珍しいこと! どうぞ」
高崎は、研究が家政学であったし、ある亜米利加人の家庭に暮していたりする関係上、平生親しく往来するというあいだでもなかった。
「よく早くお出かけになってね」
「ええ。私このくらい普通ですわ――ついそばを通ったんで、およりして見ましたの」
直子は、伸子のすすめるままに外套の襟を開いて椅子にかけた。
「――外套なんぞ、脱いでおしまいになった方がいいわ」
「ええ、でも――そうもお邪魔していられないから……」
小柄だが、たっぷりした黒い髪や、濃い眉、意志的な大きい口元など印象づよく、美しいところさえある顔で室内を見廻したり、伸子の健康をほめたりして世間話を始めたが、直子の様子には、何だか楽々しないところがあった。何か心の中には、考えてきたことがあって、それを切り出す前置きのためだけに、実際の興味は大してないことを喋っている、そんなところがあった。