Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans

Aozora Bunko

佃がけげんそうに訊きかえした。

「どういう意味ででしょうか」

多計代は、佃に答えず、伸子に向って云いかけた。

「ね、そうじゃあないかい、伸子、よく良心に手をあてて反省して御覧――お前も、いやしくも文字を書く人ならそのくらいは分るだろう」

伸子は、既にこれらの押問答に、云いがたい嫌悪を感じた。不快な、何だか心の底に触れない、殆ど不必要と思われる言葉をぐんぐんつみ上げて行って、結局何をどうしようとするのだろう。

「つまり、どういうことをおっしゃるの?」

多計代は、激しい眼つきで伸子を見た。

「云えというなら云ってもよいがね――あまり佃さんにお耳ざわりがよくあるまい」

「何なの」

「――一言で云えばこうさ、あれは、全部ではなくても、私についてのところは、どうもお前が佃さんに、暗々にでも唆かされて書いたとしか思われないのさ」

「…………」

「どうだい?」

「…………」

多計代は、いずまいをなおした。

「これは、もっとも私だけの意見ではない――皆もそう云っているんだが……」

「――――」

夜の広い畳の上に、明るさ、皆の口を噤んだ沈黙が、皎々と漲った。伸子の心の中もその通りであった。