Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans

Aozora Bunko

先生の訪問によって、事態が一変しそうな不安、まだ、そこまでは決定的でありたくない未練。遂には同じ結果になるにしろ、先生の言葉に従ってしたことだと、後でその意識に苦しみそうな自分の性分。理窟から云えば、抑々それならなぜ、何の責任もない柚木先生にそんな手紙を出したか、ということになった。書きながら、泣いて自分の苦しみと憧れとを訴えずにいられなかった心持、それも、伸子は自分を偽っていたのではなかった。心が、燃えて、燃えて、我慢できずにそれを命じたのだ。それかと云って、現在の、この踏んぎりのつかない、無いとわかりきっている筈だのに、何か大切なものを見失うのではあるまいかと、今更遅疑する心の状態も、嘘ではない。動かせない本心の両端なのであった。

翌朝、約束の時間に先生が見えると、伸子は、いよいよ愚かな気後れを感じた。いっそ、病気にでもなってしまいたい気がした。片方の足を厚ぼったく繃帯し、そのように萎れている伸子が惨めな有様に見えたのだろう、先生は、老年で幾分嗄がれたが、生彩のある音声で、懇ろに彼女の健康を尋ねた。

「うるさいものです、宅の家内なぞも、矢張りそれに類似のもので永く困却しました。