Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans
彼女は暫く躊躇した。けれども考えているうちに、彼女は拘泥している自分が腹立たしくなって来た。彼女はとよに、
「おかえりになったら、丸善で阪部さんに何かあげるものを見つけてから、動坂へ行ったと申上げておくれ」
と云って出た。
丸善の二階へ昇って行って見ると、阪部はもう数冊の本を選び出し、番頭と何か話しているところであった。伸子は先ず夫の伝言を果した。阪部は植物学を通俗的に書いたいい本を伸子に示した。
「――こういう風な書き方は、我々大いに学ぶ必要があると思うが、どうです」
「植物の生活」ファブルが子供のために書いた著作にどこか似た文章であった。伸子は、別な棚で自分の欲しいものを見たが無かった。阪部が航海中読むようにと一冊の本を買い、一時間ほどで丸善を出た。
朝からの小糠雨はまだやまなかった。全市が一枚の濡れた大外套のようだ。それから、湿っぽいねばつく靄が立って、遠方の高い建築物をぼやかして見せた。傘を拡げたなり高くかかげて、向うから来る人と衝突するのを避けながら、阪部が、
「さて、どうします」
と伸子にたずねた。
「いやなお天気ね――これでは歩く気もしないわね」