Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lisez 伸子 (のぶこ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 232 543 caractères · 466 écrans

Aozora Bunko

「私は度々もっと悪い人を見ていますが――違います。眼がひどく血走っているだけでもすぐ見分けがつきますから、本当に御心配なさらないで大丈夫です」

四日間、佐々の病勢は次第に亢進した。三日目など側に見ている伸子さえ息が楽でないほど、病人は苦しそうであった。咳はほとんど出ない、ただ四十度を上下する熱と烈しい頭痛が襲うのであった。体の関節がことごとくいたんで、寝がえりを打つのさえ一人ではできなくなった。それでも、佐々は一言の苦痛も娘には訴えず、耐えようとしている。――父親の情愛から生じたその忍耐はかえって伸子の魂を圧しつけた。父は病弱い人であった。母でもいたら決してこれですむ筈のないのが、伸子にはよく判っていた。その上、彼も感情の鈍い人ではない。外国のホテルで、油断できない病にかかった。暗い想像が、ただの一度も彼の脳裡を掠めないと、どうして云えよう。伸子は屡々その不吉な想像に苦しめられた。それ故感傷を制御しようとしているらしい父、いつか眠りに落ちた父の寝顔など、じっと見ていると、ひとしお心をうつものがあるのであった。

佃はホテルの佐々の部屋で過す時間が、他の何処で費す時間より一日中で長い有様になった。