Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
「駄目だ。俺はやっぱり駄目な男だ」
彼は力ない声で独言の様に呟いたが、
「覚といて下さい。僕がこうして二度目にここへ来たことを。ね、覚といて下さい」
といったかと思うと、突然クルッと向きを変えて、走る様に部屋を出て行ってしまった。
「あなた、気がつきましたか」
三谷と倭文子とは、いつの間にか座敷に這入って、ピッタリと身体をくっつける様にして坐っていた。
「あの男はふところの中で短刀を握っていたのですよ」
「マア!」
倭文子は不気味相に、一層青年にすり寄った。
「あの男が可哀相だとは思いませんか」
「卑怯ですわ。あの人は危い命を、あなたの、本当に男らしい、御心持から、助けて頂いたのではありませんか。それに……」
岡田に対する極度の軽蔑と、同時に三谷に対する限りなき敬慕の色が、彼女の表情にまざまざと現われていた。
あの毒薬のコップを叩き落したことが、これ程の感銘を与えようとは、三谷も予期しない所であった。
話しながら、二人の手は、いつかまた握り合わされていた。
その部屋は、奇妙な決闘の為に、態と一番不便な、淋しい場所を、宿には無断で、一時使用したばかりで、誰の部屋でもなかったから、女中などが御用を伺いに這入って来る心配はなかった。