Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
二十五歳の恋人達は、子供の様に無邪気に、あらゆる思慮を忘れて、桃色の靄と、むせ返る甘い薫の世界へ引き込まれて行った。
何を話し合ったのか、どれ程の時がたったのか、何も彼も、彼等には分らなかった。
ふと気がつくと、次の間に女中がかしこまって、声をかけていた。
二人は夢から醒めた様に、極まり悪く居住いを直した。
「何か用かい」
三谷は怒った声で尋ねた。
「アノ、岡田さんが、これをお二方にお渡し申し上げるようにと、御いい残しでございました」
女中が差出したのは、四角な紙包みだ。
「何だろう。……写真の様だな」
三谷はやや薄気味悪く、それを開いたが、中の物を暫く眺めている内に、当の三谷よりも、横から覗き込んでいた倭文子が、余りの恐ろしさに、一種異様の叫声を立てて、その場を飛びしさった。
それは二枚の写真であった。一枚は男、一枚は女。だが当り前の写真ではない。倭文子が飛びしさったのも尤もだ。これよりむごたらしく殺しようはないと思われる程、残酷に斬りさいなまれた、死人の写真なのだ。
犯罪学の書物の挿絵を見慣れた人には、さして珍らしい姿ではないが、女の倭文子には、絵空事でない写真であるだけに、本当の惨死体を見たと同じ、胸の悪くなる様な怖さであった。