Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きゅうけつき
吸血鬼
江戸川 乱歩
Lisez 吸血鬼 (きゅうけつき) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 190 554 caractères · 381 écrans
部屋の中でもマスクをかけて、口の辺を隠しているでしょう」
「その上、義手と義足ね」
「そうそう、左の手と右の足が、自分のではないのよ。ご飯をたべるのだって、それや不自由なの」
「あのマスク、ご飯の時には取ったでしょう」
「エエ、取ったわ。マア、あたし、ゾーッとしてしまった。マスクの下に何があったと思って?」
「何があったの?」
相手の女中は、彼女自身ゾッとした様に、薄暗い廊下の隅を見廻した。
「何もないの。いきなり赤い歯ぐきと白い歯がむき出しになっているの。つまりあの人は唇がないのよ」
変ないい方だが、その客は、半分の人間であった。つまり身体の二分一は自分のものでないのだ。
一番目立ったのは唇だが、鼻も醜く欠けて、直接赤い鼻孔の内部が見えているし、眉毛が痕跡さえなく、もっと不気味なのは、上下の眼瞼に一本も睫毛がないことである。女中が頭の白髪も鬘ではないかと疑ったとは尤もだ。
その外、左手が義手で、右足が義足、身体中で満足な部分といったら、胴体ばかりの人間だ。
あとで、その男――蛭田嶺蔵という名前だ――が、問わず語りに話した所によると、先年の大震火災の時、手足を失い、顔中やけどをしたので、この大怪我に命をとりとめたのは奇蹟だと、それが却て自慢の様子であった。