Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

よあけのつじ

夜明けの辻

山本 周五郎

Lisez 夜明けの辻 (よあけのつじ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 42 801 caractères · 86 écrans

Aozora Bunko

頼母は肥えた体をかがめながら、ふと声を低めて続けた。

「それは、ただ県先生を賓師に迎えることに反対するのではなく、御政治向きの反目が根をなしているのだが」

「松原どのでございますか」

道之進は大胆に云ってのけた。

織田美濃守の家中に二つの勢力が対立している。一つは江戸家老吉田玄蕃、国家老津田頼母、この両者の系統に属する一派、他の一つは江戸表用人松原郡太夫、津田庄造、同じく年寄役柘植源右衛門らとその一派である……吉田、津田の一派はひと口に云うと進取派で、旧い政策を捨て、藩政を新しく改革しようとしている。松原郡太夫の一派は旧守派で、ただこれ古い権力政治を押通そうとしていた。

しかし、この二つの勢力争いには、さらにもう一つ複雑な条件が加わっていたのである。

それは――。

現藩主、美濃守信邦は養子で、実父は高家の織田少将信栄であった。この信栄は権勢を好む人で、藩主の実父という位置をかさに、小幡の藩政を思うままにしようとしていた……松原郡太夫一派は、この少将信栄とあい結んでいたのである。

むろん、こういう家中の対立は隠密なものであった。何人も口にすべからざることだった。