Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ようちゅう

妖虫

江戸川 乱歩

Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans

Aozora Bunko

その人物が、さい前から、R洋服店のショウ・ウインドウの大ガラスの前に、じっと立ち尽したまま、まるで案山子の様に身動きもしないのだ。

ドンヨリと薄曇の天候であったし、日の短い頃なので、附近の時計店の屋根の大時計は、まだ四時少し過ぎたばかりだけれど、道行く人の顔もおぼろに、火ともし前の、最も陰気なひと時であった。

インバネスの男は、ショウ・ウインドウから三尺程離れた道路の真中に立って、ガラスの向う側の何かを、凝然と見つめている。五分、十分、二十分、彼の姿勢は生人形の様に不動であったし、彼の視線は見えぬ糸で結びつけた様に微動だにしなかった。

初めの程は、道行く人も、邪魔っけな奴だと、よけて通るばかりで、さして怪しみもしなかったが、時がたつにつれて、彼の凝視のただならぬ熱心さに、ふと好奇心を起して立止る人があると、それからは、二人立ち、三人立ち、瞬くひまに、恐ろしい黒山の人だかりとなった。

その癖、その夥しい人立ちの中に、インバネスの男が見つめている品物を、ハッキリ知っている人は、一人もいなかった。人々はこの古風な服装をした怪人物の、ただならぬ様子を、烈しい好奇心で、ただ眺めているに過ぎなかった。