Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
その男には、女が部屋の真中へ出て来なければ見えないというのも、実に異様である。
(アッ、若しかしたらあの中にいるんじゃないかしら)
襖の隣に、何かの自然木の床柱と、壁の落ちた床の間の一部分とが見えているのだが、その床の間に、大型の支那鞄程もある頑丈な木箱が置いてあって、その三分一ばかりが視線の中に入っている。若しやあの木箱の、ここからは見えない部分に穴があけてあって、山印という奴は、そこから覗いているのではあるまいか。歌声は丁度その方角から聞えて来るのだ。
(イヤ、俺はどうかしているぞ。いくらなんでも、あんな窮屈な木箱の中に人間が入っているなんて、あんまり馬鹿馬鹿しい想像だ)
相川青年は、彼の突飛な空想を自ら打消したが、あとになって分った所によると、彼は決して間違ってはいなかったのだ。その木箱の中には、やっぱり人間が入っていたに相違ないのだ。だが、それは一体全体何の必要があってであろう。
「サア、愈々日頃の恨みをはらす時が来た。姉さん、俺達の恨みが、どんなに深いものか、今見せてやるよ」
最初襖に横顔を映していた奴の声だ。
次の瞬間、何かしらサッと、稲妻の様なものが閃いたかと思うと、横わっていた肉塊が、非常な勢で飛上った。