Classiques japonais avec furigana
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ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
床の間の前には、嘗て見たこともない怪しいものが、醜怪極まる姿勢で蹲まっていた。そして、その畳二枚程手前には、品子さんが歯を喰いしばって気絶していたのだ。
ここにも亦、今朝の丸の内の場合と同じような事が繰返された。最初の内は、生けるが如き怪物の形相に、誰一人そこへ近づくものはなかったが、やがて、それが恐るるに足らぬ拵えものに過ぎないことが分って来た。
手に取って検べて見ると、大蠍の正体は、薄い金属を芯にして、布を張り絵の具を塗った、鎧のような感じのものであった。
頭と尻尾とを持って押えつけると、小さく折り畳むことも出来るようになっていた。
この大蠍は皮ばかりで中は空っぽであった。按うに賊はこの異様な衣裳を二つ以上用意して、一つは相川青年に被せて丸の内へ、一つは空っぽのまま桜井家の広間へ運んで置いたものに相違ない。
「オヤ、蠍の螯の間から、こんなものが出て来ました」
書生の一人が、白い一物を発見して、栄之丞氏に差出した。それは小さく畳んだ一枚の紙片であったが、開いて見ると左のような恐ろしい文言が認めてあった。
我々は本日中に品子さんを頂戴に上る予定だ。