Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
これからどんな恐ろしい事が起るのかと、胸をしめつけられるような気持で、オズオズとそのあとに従った。
殿村夫人は階段を上って、二階の広間へ――今朝大蠍が横わっていたあの広間へ入って行った。
「みなさん、赤蠍は決して約束を忘れませんでした。ごらんなさい、あれ、あれ、あの天井の赤いものをごらんなさい」
殿村夫人は三笠探偵に掴まれていない方の手で、広間の格天井の真中を指さしながら、さも嬉し相な、気違いみたいな笑顔で、一同を見廻すのであった。
人々はそれを見た。その音を聞いた。
豪奢な白木の格天井の真中に、方二尺程のいびつな円形を作って、真赤な液体がベットリと滲み渡り、その中程と一方の隅との二ヶ所から、雨垂れの様に、赤い雫が、ポトリ、ポトリと、青畳の上に滴って、畳の上にも、小さな赤い池が出来ていた。ポトリ、ポトリ、……云うまでもなく血だ。天井裏で何者かが殺害されて、その血潮が滴っているのだ。
誰も物を云うものがなかった。余りの恐怖、余りの悲痛が、人々を異様に押し黙らせてしまったのだ。桜井夫人がこの場に居合わせなくて仕合せであった。彼女は気味が悪いからというので、女中達と一緒に階下に残っていたのだ。