Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ようちゅう
妖虫
江戸川 乱歩
Lisez 妖虫 (ようちゅう) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 120 290 caractères · 239 écrans
アア、危ない。その葉巻には、どんな仕掛けがあるかも知れたものではないのだ。併し、それとも知らぬ操一氏は、嬉し相に好物の葉巻を受け取って、吸口を噛み破り、火をつけてしまった。
「如何ですな、わしの好みは」
「イヤ、実に結構です。騒ぎにまぎれて、ずっと煙草を吸わないでいたものですから、又格別の味いです」
車内には紫の煙が靄のように漂い、葉巻の先は刻々灰になって行った。
偽探偵は、煙草をふかし続ける操一氏を横目に注意しながら、死人のようにグッタリとクッションに沈み込んでいる珠子に、さも親切らしく、色々と慰めの言葉を囁いていたが、車が三十分も走った頃には、又しても彼女の柔かい手を取って、執拗に弄び始めた。
そぞろ心の珠子も、遂にはそれを悟らない訳には行かなかった。彼女の手に伝わる感触には、脅えた少女を力づけるというようなものではなくて、いやらしい一種の情熱があった。しかも更に異様なことには、それは決して老人のひからびた手ではなく、ニチャニチャと油っこい壮年者の手であった。
それとなく振りほどこうとしても、不気味な男の手は、吸盤でもついているように、変にからみついて離れぬばかりか、一層強い力で握りしめて来るのだ。