Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lisez 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 360 caractères · 251 écrans

Aozora Bunko

と呼んでいる。

チチチッ チチッ ヒヨヒヨヒヨ チッ

こういったような、よく響く、まろやかな声である、ひと月ほどまえ、三月はじめの、まだ朝の肌寒いじぶんには、梢からおりて、(釜戸の火を恋うるかのように)すぐ近くまで、寄って来たものであった。

うまそうな、味噌の香がし始め、蓋を揺って、汁がふきこぼれた。

彼は濡らした手拭で、鉄のつるを取り、釜戸の脇におろすと、代りに、大きな湯沸しをかけて、立ちあがった。そのとき、「ほっ、ほう……」という声が聞えた。

「ほっ、ほう、ほっ、ほう」

かなり遠いらしい、郭公に似ているが、よく聞くと女性の声である。それは、つぎつぎにやまびこを呼んで、一種の幽玄な反響の尾を、ながくひいた。

半之助はちょっと立ち停った。しかしもう慣れているとみえて、両手で口を囲って、「ほっほう、ほっほう」と谷のほうに向って叫んだ。

それに対する答えはなかった。彼はふり向いて、灌木の繁みを押し分けながら、うしろにある小さな洞窟、というよりも、岩の裂目といったくらいの、暗い穴の中に入り、すぐに食器を持って出て来た。

キョッキョッ キキキッ

頭上の樹の枝で、べつの鳥が鳴きだした。