Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lisez 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 360 caractères · 251 écrans
「でたらめばかりだ」
「さようでございましょうか」
和助という若者は少しばかり不服そうに、「鋳物師谷の隠居は、その場にいて拝見したと申しております、仔牛ほどもある大猪で、危なく殿さまが牙にかかるところを」
「でたらめだ、危なかったのはこのおれだ」
権之丞は傷痕へ手をやった。
「殿さまが鉄炮で仕止めて下さったが、さもなければ、そのときおれは、ずたずたに裂き殺されるところだった」
「さようでございましょうか」
和助の口ぶりは、明らかに、信じられぬ、という調子であった。だが、そういうとき、しいて反問することは、相手のきげんを損ずる、と承知しているらしい。ややしばらく背を洗ってから、
「――早く山へ帰りとうございます」と独り言のように云った。
権之丞はまた黙りこんだ。むっとした表情で、風呂舎から出ると、持参の古びた帷子に、そまつな葛布の袴をつけ、茶を啜る暇も惜しいというふうに、「比女さまに、すぐおめどおりが願いたい、と申上げて呉れ」
こうせきたてた。取次ぎは、休んで待つように、という返辞をもって戻った。
「唯今、御来客ちゅうでございますので」
権之丞は苛立たしげに、茶の代りを命じた。