Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lisez 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 126 360 caractères · 251 écrans

Aozora Bunko

すると、花世はすでに向うがわへいっていて、そうして、向うがわから舟ばたを引っぱったらしい、その舟が、とつぜんぐらっと向うへ傾いた。

わっと声をあげて、男たちは一方へ寄った。向うへ転覆すると思って、本能的に反対がわへ重心をかけたのである。ところが、花世はそれを予期していたのだろう、かれらが一方へ寄ったとたんに、いちど引っぱった舟ばたを、逆に突きあげた。

重心の移るところへ反動をつけられたから、舟が転覆するまえに、乗っていた男たちがころげ落ちた。船頭は舟といっしょにひっくり返った。

「やった、うめえ」

こちらの船頭は、足踏みをして叫んだ。

「その意気だお嬢さん、そっちのもついでにやっちめえ」

向うの、もう一艘の男たちは、総立ちになった。

そのとき大助は、ふとふり返った。

うしろで、人の呼ぶ声が聞えたからだ。見ると、佃島の下をまわって、小舟に助け櫓をかけたのが、舳先で水を切るように、すばやくこっちへやって来る。

「――和助だ」

彼は手をあげてみせ、だがすぐに、花世のほうへ眼を戻した。

残った釣舟の男たちは、持った竿で、むやみに海面を叩いていた。みんな立って、うろうろとそちらこちらを叩きまわす。