Classiques japonais avec furigana
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ねんじゅうぎょうじおぼえがき
年中行事覚書
柳田 国男
Lisez 年中行事覚書 (ねんじゅうぎょうじおぼえがき) de 柳田 国男 (やなぎたくにお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 135 005 caractères · 262 écrans
が幾らでもあったのである。
七十年前には、自分なども村の子供であった。古い話をし出すと止められなくなって、うっかり紙数を費やす恐れがあるが、今でも覚えているのは旧十月の亥の日の晩に、亥の子と称して新藁で太い苞を巻き立て、地面を打ってまわる遊びがあった。九州の島々ではこれを亥の子節供とも呼んでいる。この日の晩には必ず新米の団子をつくり、それを重箱に入れて家々互いに贈り合う。そのお使いをするのも子供であった。霜にやや痛んだ赤白黄の菊の小枝が、重箱の蓋を開けるとぷんとにおうのも、なつかしい風情であった。それよりも大きな楽しみだったのは、家々ではこの藁ボテの地を打つ音を悦んで、子供を励ましてめいめいの門庭を打ちまわらせ、その慰労には必ず餅をくれた。それで私などはイノコ餅を、この日の行事の名かと思い、またあの藁ボテの名かとも思っていた。
瀬戸内海も少し西の方へ行くと、藁ではなくて円い石に多くの環を付けたものを、亥の子石と称して子供が使っており、形式は一段と地搗き地固めと近い。九州各地のムグラ打ちは、藁を竹のさきに巻き付けたものだが、これで地面を叩く日が正月の十四日になっている。