Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

Lisez 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) de Sakaguchi Ango (坂口 安吾) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 96 621 caractères · 195 écrans

Aozora Bunko

そのくせ、二人とも、煮えきらなくモジモジして、私が室内へはいり、椅子にかけても、私の存在には関係のない別のことで、困惑しきっている様子であった。

「どうしても、あれがホンモノの兄貴なのかなア。ホンモノだとすると、だいたい丹下左膳という奴は、バッタバッタと右に左に人を殺しやがるもんで、油断がならねえや。オレはもう、あんな丹下左膳の出来損いと同じ屋根の下に住むのは、イヤになった」

と、青年がつぶやいた。二十三四、大男ではないが、ガッシリと、体格のすぐれた青年であった。

「じゃア、美津子、オレは当分、小田原の家へは帰らないぜ。用があったら、サクラ拳闘倶楽部へ電話かけてくれよ。あそこに居なくっても連絡つくところに居るから」

「あら、定夫兄さん、用心棒みたいな兄さんが居てくれなくちゃ、それこそ私たちが困るばかりじゃありませんか」

「冗談云っちゃアいけないよ。ボクシングのバンタム新人王だの何だの云ったって、丹下左膳現代版に太刀打ちできるもんかいな。お前さんも早いとこ家出して、友達のうちかなんかへ当分ころがりこむことだな。さもないと――」

定夫青年の顔付は、にわかに真剣に、血の気がひいて、殺気立った。