Classiques japonais avec furigana
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「しなゆうき」
支那游記
Lisez 支那游記 (「しなゆうき」) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 51 859 caractères · 105 écrans
朱泥のような丸焼きの鶏が、べた一面に下った店がある。種々雑多の吊洋燈が、無気味な程並んだ店がある。精巧な銀器が鮮かに光った、裕福そうな銀楼もあれば、太白の遺風の招牌が古びた、貧乏らしい酒桟もある。――そんな支那の店構えを面白がって見ている内に、馬車は広い往来へ出ると、急に速力を緩めながら、その向うに見える横町へはいった。何でも四十起氏の話によると、以前はこの広い往来に、城壁が聳えていたのだそうである。
馬車を下りた我々は、すぐに又細い横町へ曲った。これは横町と云うよりも、露路と云った方が適当かも知れない。その狭い路の両側には、麻雀の道具を売る店だの、紫檀の道具を売る店だのが、ぎっしり軒を並べている。その又せせこましい軒先には、無暗に招牌がぶら下っているから、空の色を見るのも困難である。其処へ人通りが非常に多い。うっかり店先に並べ立てた安物の印材でも覗いていると、忽ち誰かにぶつかってしまう。しかもその目まぐるしい通行人は、大抵支那の平民である。私は四十起氏の跡につきながら、滅多に側眼もふらない程、恐る恐る敷石を踏んで行った。
その露路を向うへつき当ると、噂に聞き及んだ湖心亭が見えた。