Classiques japonais avec furigana
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うきふね
文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集
泉 鏡花
Lisez 文豪怪談傑作選・特別篇 鏡花百物語集 (うきふね) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 32 938 caractères · 67 écrans
のあたりはふっくりと艶である。大きく描いて、半身で、何にもなしにつッと、軸の宙で消えている。
香炉に線香を立てて、床に短刀が一口あった。
「魔よけだと申しますから、かたがた。……では蚊帳の中を一つ。……あとでは隔へ襖を入れますつもりです。」
敷居からすぐに潜ったが、唯、見る目も涼しく、桔梗の藍が露に浮く、女郎花に影がさす、秋草模様の絽縮緬をふわりと掛けて、白のシイツを柔に敷いた。桃色の小枕ふっくりと媚かしいのに、白々と塔婆が一基(釈玉)――とだけ薄りと読まれるのを、面影に露呈に枕させた。頭に捌いて、字にはらはらと黒髪は、髢を三房ばかり房りと合せたのである。ぬしありやまた新に調えたか、それは知らない、ただ黒髪の気をうけて、枕紙の真新しいのに、ずるずると女の油が浸んでいた。
「あの行燈には苦心しました。第一、金が出ています。」
と笑いながら、
「古さと言い、煤け工合、鼠の巣のようなぼろぼろの破れ加減を御覧下さい。……四谷怪談にも使うのを、そのままで小道具から借出しました。浅草でしてね。俳優の男衆が運んだんですが、市電にも省線にも、まさか此奴は持込めません。