Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 186 659 caractères · 372 écrans

Aozora Bunko

――何か、とりつく島もない空気が、家康主従と、彼とを加えて、妙な空気を、そのまましばらくもちあっていた。

「お使者方の御饗応は、富士の間にいたしておきました」

外から、老臣のひとりが告げた。家康は、うなずいた眼を、信雄へ向けて、

「お夜食は、使者たちと御同席ということにしておいたが」

と、断った。

信雄は、さしつかえない旨を答えた。さっきから抱いていた小心な不安を眉にややひらいて、ついでに、訊ねた。

「大坂表からの使いはやはり御上洛の、催促でございましたか」

「いや、見舞じゃと、いうておる。……わしには、使者のいう趣がよう分らぬが」

「はて、お見舞とは、何のお見舞でしょう」

「当家を落ちた石川伯耆守が、大坂城へ、養うてくれと申して参ったそうな。――それについて、秀吉も意外に存じたという云いわけと、さだめて、御心外であろうに――という太閤からの、お見舞じゃよ。はははは。お見舞じゃよ。……あはははは」

めずらしく、家康は笑った。反対に、酒井や榊原たちの、まわりの顔は、ひどく硬直した。笑うかわりに、涙をしばだたく顔もあった。

大坂の使者ふたりも、客の北畠信雄も、その晩、もちろん城内に泊った。