Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans
惜しくも組みしきながら後から一と突きに刺されるのもある。
もちろん、弓組もいるので、弓鳴りや銃声は間断もない。しかしそれ以上なのは、敵味方約五、六百の喊声だった。その声は、たれひとりとして、喉から出しているようなのはない。満身の頭髪と毛穴から発しているとしか聞えない。
押しつ押されつだ。いつか陽はさし昇っている。めずらしく青空と白い雲が見える。こう照り出すと、いつもなら満山に聞える蝉の声もきょうは唖となったかのようである。
そして山をも揺がす武者の叫喊が、それに代っていた。累々、あなたやこなたに、はや数えきれぬ朱の屍が点綴された。或いはひとつに或いは重なり合っている姿は悲痛を極める。しかしそれが味方を叱咤する力は非常なものだった。その屍をふむ戦友はみなすぐ死生の外へ駈けた。堀隊の兵もそうである。明智隊の兵もそうである。
山上の戦況はまだ不明だが、ここも一勝一敗をくり返していた。そのうちに、北軍の松田隊に揚っていた諸声がふと急変した。陽声から虚声になったのだ。わあッ――と、まるで嬰児が泣くときのような退く息を示したのである。
「ど、どうしたのだッ?」