Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans

Aozora Bunko

一痕の月を凝視することしばしであった。その月よりも青い死色がみるまに面上へ漲って来たとき、ふしぎにも少しの紊れもない小声で、光秀は、偈のあとを、こうつづけた。

大道ハ心源ニ徹ス

五十五年ノ夢

覚メ来レバ一元ニ帰ス

茂朝は筆を投げて哭いた。

とたんに、光秀はわれとわが喉を短刀で掻き切っていた。

愕いて駈け戻って来た進士作左衛門や比田則家も、その体を見ると、

「いまは」

と、主人の屍に寄り添って、各※(二の字点、1-2-22)、自己の刃に伏した。――なお四人、六人、八人と、数を加えて、同じように光秀の死骸を繞って殉じた人たちの亡骸は、またたくうちに大きな一箇の血の花弁と花心を地上に描いた。

さきに大竹藪へ駈け入った堀与次郎と、一、二の者は、土民の群れと戦って、斬り死にして果てたものか、村越三十郎が闇へ向って、

「与次郎、戻れッ。与次郎、与次郎ッ」

と、いくら呼ばわっても、ふたたび帰って来なかった。

その三十郎も傷を負ったので、竹林の中をよろ這いよろ這い帰って来ると、すぐ側を摺り抜けて通る人影があった。

「あッ。茂朝どの」

「三十郎か」

「お館はいかが遊ばしました」

「御最期だ」