Classiques japonais avec furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans
「あ。――弥兵衛、これにおります」
あなたの石段の下で、何か、一かたまりの人影へ向って、さしずをしていた浅野弥兵衛は、秀吉の声に気づくと、早口にそれを終って、こなたへと、駈け出して来た。
「いいのか。いいのか」
秀吉は、彼に、ひざまずかせる遑も与えず、こう性急に云って、
「――よかったら出かけい」
「はっ。よいのです。――では光泰、先に立て」
弥兵衛は、後ろへいう。
うしろにいた加藤光泰は、
「では」
と、山門のわきに立てていた金瓢の馬簾を預って、列の中へ持ちこみ、自身もすぐ馬上になって加わった。
秀吉はそれを離れた。そして小姓たち数名と、堀尾茂助、浅野弥兵衛、その他三十騎ほどの者に囲まれて、山門から揺ぎ出す兵列を見ていた。
貝を用うべきところであるが、貝の音も松明も戒めてあるものらしく、浅野弥兵衛が、秀吉から金采を受けて、秀吉に代ってそれを一颯、二颯、三颯――打ち振った。それを合図として七百の兵馬は、先頭から徐々行進し始めた。
列の首端は、方向を一転、道を旋って、秀吉の前を通って行く。――各隊先導の部将には、生駒甚助同三吉の父子、中村孫兵次、山内猪右衛門、木下助左衛門、弟の勘解由、小西弥九郎、一柳市助など、いわゆる中堅の旗本のみだった。