Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans

Aozora Bunko

何もかも、ここは秀吉の肚一つにかかっている。秀吉はその肚芸を意識していた。和議が成立したからといって、余りに慌ただしく退くことは、毛利をしてわが虚を覚らしめるものと考えられた。東へ逸る心を西へ向けて、無策な顔をしていたのも一に毛利の虚実を測るためだった。

「彦右衛門。水はいくらか減じ始めたか」

「一尺程退いたようです」

「急には流すな」

秀吉は持宝院の庭へ出た。きのう宗治が切腹した一舟の跡も小波のみ見るだけだった。一部の堰を切らしたため、わずかずつの水量は減じ始めたとはいえ、まだ彼方の高松の城は水の中だった。

秀吉の麾下杉原七郎左衛門は、昨夕すでにそこへ入って、城受取りを完了していた。――今そこから渡船や小舟で続々陸上へ運ばれているのは、宗治の死によって救われた無数の領民である。籠城の将士は、それらの老幼を先にあげて、自分たちはいちばん最後に上陸した。

事なく一日は暮れた。

夜に入ると秀吉は、森勘八高政に毛利方の監視を命じ、また黒田官兵衛その他と何事か凝議し、終ると、小姓一同にも引き揚げを伝え、急速に陣払いを準備し出した。

夜はまだ深いが、正しくは六日の朝といってよい。