Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lisez 新書太閤記 (しんしょたいこうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 192 758 caractères · 383 écrans

Aozora Bunko

沼城の者が、

(この大雨では、とても御無理でしょう。一日程も御休息あって減水をお待ち遊ばしては)

と引止めたのを、何のと、無碍に急いで来たことなので、秀吉はもとより難儀も覚悟であった。

荷駄と荷駄とを繋ぎ合わせて馬囲いを作り、人と人とは手をつなぎ、或いは槍の柄を握り合いなどして、一陣一陣濁流を渡るのだった。

さきに越えた秀吉は、彼方の水際に床几をすえて、

「急ぐな、あわてるな。心しずかに河越しいたせよ」

と風雨もよそに落着きを見せていた。

「こういう時に、人ひとり取り落すと、五百も三百も損じたようにいわれるものだ。荷物一つ流しても、百荷も二百荷も捨て去りたりと沙汰されよう。かたがた、戦場とちがい、不覚といわれては、いのちも軍器も捨てがいがないぞ。悠々渉れ、悠々と」

高松のあとへ殿軍として残して来た森勘八の一軍も、この頃、追いついて来たし、そのほか遅れた部隊も、続々見えて両岸にむらがった。

森勘八は秀吉の前に来て、あとの模様を報告していた。――味方の引き揚げは六日の未の刻(午後二時)までに全部終了したということ。また、その後も、毛利方の陣営には、追撃に出て来る気配はなく、ぼつぼつ兵力の後退にかかっているらしく思われる、ということなどであった。