Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans

Aozora Bunko

東京近在から来ている根岸の召使いを、お増も一、二度見かけたことがあった。女の身元保証人になっている、女の伯父だという男から持ち込まれた難題に、お爺さんも妾のお芳も蒼くなっていた。それを浅井が間へ入って、綺麗に話をつけてやったのであった。女には、別に男のあるらしいことが、じきに浅井の目に感づかれた。浅井は商業に失敗して、深川の方に逼塞しているその伯父と一度会見すると、こっちから逆捻じを喰わして、少しの金で、事件の片がぴたりついてしまった。

「でも隠居は、やっぱり自分の子だと思っているらしい。私のやり方が、少してきぱきし過ぎるといった顔をしているからおかしい。」

浅井は重い目蓋をとじながら、懈そうに笑った。

「あなただって、女には随分惚れる方ですよ。」

お増はまだ離さずにいた莨を、浅井の口に押しつけなどした。

「ふふ。」と、浅井は今まで一緒にいた女の匂いが、まだ嗅ぎしめられるような顔をして、溜息を洩らした。浅井のその女と、かなり深い関係を作っていることは、前からお増にも感づかれていたが、そんな時には、浅井の活動ぶりも、一層目ざましかった。収入も多かったし、自分のわがままも利いた。