Classiques japonais avec furigana
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あらじょたい
日本の文学 9 徳田秋声(一)
徳田 秋声
Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans
「こんなコートなど、もう着ている人はありゃしませんよ。」
お今は、それがお増のせいか何ぞのように、言い立てるのであった。お今のわがままの募って来たことが、お増には腹立たしくも、情なくもあった。
「それでたくさんよ。今からそんなによいものばかり欲しがってどうするのさ。お今ちゃんちっと来た時のことを考えるといいんだよ。」
お増はここへ来たてのころの、まだ東京なれないお今の様子や、これまでに世話して来た、浅井や自分の好意を言い出さずにはいられなかった。
浅井と一緒によそへ出たりなどするお増に、お今は時々厭な顔を見せたりした。
「真珠のがないから、これは私のにしておきますわ。」
お増はそう言って、指環をサックに収った。
「そんならそれをお前のにしておいて、何か高彫りのを一つ代りにやるかね。」
浅井は笑いながら言った。
「いけませんよ。あなたがあんまりちやほやするから、増長してしようがないんです。このごろ大変渝って来ましたよ。あなたが悪いんです。」
「けど、それはしかたがないよ。見込んで託けられて見れば、こっちだって相当のことはしなければならん。これから室の方の話が纏まるものとすればなおさらのこと、うっちゃってはおけない。