Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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あらじょたい

日本の文学 9 徳田秋声(一)

徳田 秋声

Lisez 日本の文学 9 徳田秋声(一) (あらじょたい) de 徳田 秋声 (とくだしゅうせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 346 393 caractères · 692 écrans

Aozora Bunko

室の方の話を纏めるにしても、浅井の力を借りないわけに行かなかった。

居所を知らさないで、お今が浅井のところへ出入りするようになったのは、それから間もなくであった。

五十三

「姉さんのところへ来ると、ほんとに気がせいせいしてよ。」

気づまりな宿の二階に飽きて、お増の方へ遊びに来たお今は、道具などに金のかかった綺麗な部屋のなかや、掃除の行き届いた庭などを眺めながら言った。袖垣のところにある、枝ぶりのいい臘梅の葉が今年ももう黄色く蝕んで来た。ここにいるうちに、よく水をくれてやった鉢植えの柘榴や欅の姿づくった梢にも、秋風がそよいでいた。近ごろ物に感傷しやすいお今の心は、そんなものにもやるせない哀愁をにじませていた。浅井の家では、若い女中が一人殖えたり、田舎から托けられた、浅井の姉の子だという少年が来ていたりして、たまに傍から来ているお今が、軽い反感を覚えるほど賑やかであった。衆は、宵のうちに下の座敷に集まって、このごろ取り寄せた蓄音器などに、笑い興じていた。最近の一ト夏で、めっきりおしゃまさんになった静子の様子も、変って来た自分の身のうえの心持を、お今の目に際立たせて見せた。